「糖質制限食」講演会 in 北九州

  • 日時:2012年5月13日(日)ウェルとばた・多目的ホール
  • 講師:江部康二 先生

糖質制限食 常識の壁を越えて

  • ―自分で守る健康―
  • 生活習慣病の解決・予防
  • 脳はブドウ糖しか利用できない? →間違い
  • 脂肪悪玉説は? →間違い
  • カロリー神話は? →間違い

脂肪摂取量が多いほど寿命が延びる

  • Sinettらの、世界137カ国(男)のデータによれば、1人1日当たりの脂肪消費量が125gまでは、多くなるにつれて平均寿命が延びるという“正”の関係がある。(1983年報告)
  • ハワイの日系人のデータによれば、脂肪摂取量が40g/日未満になると、脳卒中死亡率と総死亡率が極めて高くなる(1985年報告)

日本で脂質が増えて脳卒中が激減した時期

  • 昭和30年代までは脳卒中が死亡原因の第一位。
  • 昭和40年(1965)頃から、お米の摂取量が減少。
    高度経済成長により、社会が裕福になり、肉や牛乳・乳製品が急速に増えて脂肪摂取増加。
    昭和55年(1980)頃までこの傾向が続いて、以降は不変。この間、脳卒中による死亡率が急速に減り始め、昭和55年には半減し、その後も減少した。
  • 脂肪の充分な摂取が脳卒中と総死亡率を減らす。

厚生労働省「国民栄養の現状」(栄養摂取量の推移)

  • 昭和40年(1965)から糖質が減少し、脂質は増加(日本が豊かになった頃。)
  • 昭和55年(1980)以降、2008年まで
    糖質:62~57%、脂質:22~26%、蛋白質:15~16%と摂取熱量比率は大きな差はない。
  • この間糖尿病は増え続けた。
    1)自動車台数の急激な増加など運動不足。
    2)エアコン→体温調節エネルギー低下→基礎代謝の低下?
    3)精製炭水化物・清涼飲料水(調味嗜好飲料)の過剰摂取。
      質の異常。
  • 平成9年(1997)をピークに脂質摂取比率は減少し始めている。
  • 平成9年(1997)をボトムに糖質摂取比率は増加し始めている。
  • この後も2008年まで糖尿病、肥満は増え続けている。

糖尿病・肥満増加の真の原因は?

  • 食生活の欧米化?
  • 脂肪摂取率の増加?

大腸がん・乳がん・心筋梗塞の増加も食生活の欧米化のため?

脂肪犯人説(常識)は正しいのか?

~まずは米国のデータを検討。

低脂肪食は心疾患リスクを下げない

脂肪悪玉説→根拠なし

  • 「低脂肪┼野菜豊富な食生活」は、乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを下げない。総コレステロール値も不変。
  • 米国の大規模介入試験:5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した結果が判明(脂肪熱量比率20%で強力に指導)
  • 米国医師会雑誌2006年2月8日号、巨額の研究費を費やした大規模臨床試験で信頼度が高い。

脂肪摂取率低下しても糖尿病増加の米国

総脂肪由来kcalの占める割合は、1971年(36.9%)→2000年(32.8%)と減少したが、
米国の糖尿病患者は“激増”

米国の2005年度の糖尿病有病数は2,080万人
全人口に対する有病数は7%と推定される。
1995年の患者数は800万人。

米国・脂肪が無実なら真犯人は?

  • 1977年、米国栄養ガイドライン。脂質↓ 糖質↑
  • 脂質摂取量は30年間減り続けた。
  • 糖質摂取量は30年間増え続けた。
  • 肥満は30年で倍増
  • 糖尿病はわずか10年で2.5倍増。
  • 真犯人は、糖質の頻回・過剰摂取!→何故悪いのか?
    糖質の質も変化→精製炭水化物・嗜好飲料。
    運動不足。

*米国飲料協会(ABA)は、公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を2009年、全面禁止。

血糖と糖質・蛋白質・脂質(米国糖尿病協会

  • 血糖を上昇させるのは基本的に糖質のみである。
  • 糖質は 数分~120分で 100%血糖に変わる。
  • 蛋白質は血糖値を上昇させない。
  • 脂肪は血糖値を上昇させない。
  • 1997年版ではタンパク質50%、脂質10%未満が血糖に変わるとしていたが、2004年版で削除。
  • ADA:Life With Diabetes A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center 2004

糖尿病の人と糖質

  • 糖尿病の人は、糖質を摂取した時、血糖が異常な高値になる。
    1gの糖質が64kgの2型糖尿病の人で血糖値を3mg上昇させ、1型では5mg上昇させる。
  • 糖質が主成分の<米飯、パン、芋>を常用量摂取して2時間後の血糖値を測定すると200mg/dl以上となる。
  • ご飯茶碗1杯150gは約250キロカロリーで、55gの糖質を含有。
    「55g×3mg=165mg」血糖値が上昇する。
  • 糖尿病の人においてはインスリンの作用不足があり糖質を処理するシステムが破綻しているからである。

炭水化物と糖質

「糖質」+「食物繊維」=「炭水化物」

糖質には
単糖類:ブドウ糖、果糖など
二糖類:ショ糖、麦芽糖、乳糖など
多糖類:デンプン、グリコーゲンなど

糖尿病の人とたんぱく質・脂質

  • 大豆・豆腐・肉・チーズなどは、たんぱく質や脂質が主成分であり、糖質は少ない。
  • 例えば、牛サーロインステーキ200g(約1000kcal)を 2型糖尿病の人が食べても糖質含有量は1g以下で、血糖は3mgも上昇しない。

カロリー制限食では真っ先に禁止される肉類ですが、血糖値を上昇させるのは糖質なので、たんぱく質や脂質であるお肉を食べても大丈夫なんです。

ブドウ糖スパイク(糖質摂取後の急激な血糖値上昇

  • 高血糖→活性酸素産生亢進→酸化ストレス亢進
  • 高血糖→活性酸素処理機能低下→酸化ストレス亢進
グルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)
「空腹時血糖値と食後血糖最大値の差」が大きいほど血管内皮が傷害され心筋梗塞のリスクとなる。
ブドウ糖スパイクを起こすのは、糖質だけ。

糖毒

  • 高血糖の持続→インスリン分泌の抑制。
  • 高血糖の持続→インスリン抵抗性の増大。
  • インスリンの分泌低下・抵抗性増大→高血糖
  • この悪循環を“糖毒”と呼ぶ。
  • 高血糖→血管内皮細胞を傷害して動脈硬化の元となる。
  • 高血糖→活性酸素処理機能が低下。
  • ブドウ糖スパイク
    「空腹時血糖値」と「食後血糖最大値」の差が大きいほど血管内皮が傷害される。

糖尿病・肥満など、“生活習慣病”対策には「糖質制限食」が最適。

糖質だけが血糖値を急激に上昇させる。

糖質制限食の3パターン

効果は抜群で、早いので、一番のおすすめ。

  • 「スーパー糖質制限食」は、三食とも主食なし。
  • 「スタンダード糖質制限食」は、朝と夕は主食抜き。

嗜好的に、どうしてもデンプンが大好きな人に。

  • 「プチ糖質制限食」は、夕だけ主食抜き。

* 抜く必要がある主食とは、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や、芋類などの「炭水化物」。

カロリー制限食と糖質制限食

比較表
従来のカロリー制限食 スーパー糖質制限食
糖質60% 糖質12%
脂質20% 脂質56%
タンパク質20% タンパク質32%
カロリー・脂質制限(計算が大変、我慢が辛い カロリー計算不要(我慢不要で、楽である)
アルコール制限 蒸留酒は飲んで良い
食後血糖値上昇 食後高血糖なし
追加分泌インスリン大量 追加分泌インスリン極少量

糖質制限食十箇条

糖尿病や肥満が気になる人に

  1. 魚貝・肉・豆腐・チーズなど、タンパク質や脂質が主の食品は、しっかり食べる。
  2. 白パン・白米・麺類、及び、菓子・白砂糖など、精製糖質の摂取は極力控える。
  3. やむを得ず主食を摂るときは、未精製の穀物(玄米、全粒粉パンなど)が好ましい。
  4. 飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳、水、番茶、麦茶、ほうじ茶を摂る。
  5. 糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量ならOK。果物は少量にとどめる。
  6. オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
  7. マヨネーズ(砂糖なしのもの)やバターもOK。
  8. お酒は蒸留酒(焼酎など)はOK、醸造酒(ビール、日本酒など)は不可。
  9. 間食はチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
  10. できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

糖質制限食の対象

  • 血中クレアチニン値が正常で腎機能が保たれている人に限定。腎不全は適応外→糖質制限食は高タンパク食
  • 活動中の膵炎も対象とならない。→糖質制限食は高脂質食
  • 肝硬変も適応とならない。→糖新生ができない。
  • 糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂質食。
  • 糖尿病・肥満・メタボ・生活習慣病が対象。
  • 1型糖尿病の場合インスリン量の減量が可能。
  • 糖尿病の経口薬を内服している人やインスリン注射をうっている人は低血糖発作予防の為糖質制限食開始前に必ず医師と相談すること。

以下省略