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何年か前のスポニチにゴルフの坂田信弘さんのコラム欄がありました。
「坂田信弘・おしゃべり苦楽部」

「『オール5』ではプロにはなれぬ」というタイトルでした。

講演の旅が続く。きのう**月**日、きょう**日と東京。国分寺商工会の招きで国分寺へ来た。 到着時、午後2時40分。本稿の締め切りは迫る。講演開始は午後4時。

レストランは騒々し過ぎた。ファックスもなさそう。原稿書く場所が見つからない。国分寺駅ビル8階の管理事務所に飛び込んだ。

「机ひとつ、貸してくれませんか?」と頼んだ。ゴルフやる人がいた。会議室を貸してくれた。本稿、その会議室で書いている。

東京は地方都市に比べると情け薄い街と思っていたが、街路樹の多い国分寺の情けは濃い。幸運だった。

講演会の後、質問される。「どのような人がプロスポーツ選手になれるのでしょう?」 「私の25年の経験で申しますが、頭とからだのバランスいい子。例えば通信簿。 5段階評価の場合、全種目オール5は駄目。オール1も駄目。5と4、4と3、といった2段階評価を受けてる子も無理です」

「では、とのような成績評価だったらプロになれます?」「3段階に分かれてる子がいい。 5・4・3か、4・3・2か、3・2・1。こういう子は間違いなく伸びる.心が丈夫なんですよ。 己を己で伸ばす自立心を持っている。評価1は恥じゃない。3と2があれば、1は価値を持つ。

「オール5の優等生は駄目ですか?」「駄目!私は欧米、日本の一流プロスポーツ選手の中学までの成績を調べてみました。 一流は皆、3段階の評価を出していましたよ。心のバランスは数字じゃない。評価の広がりようだ。3段階がベスト」

「そう言われると何となく納得できますけど……」「スポーツって、経験して、痛い目に遭って、 そこで初めて間違ってたと分かる部分が多いでしょ。プロスポーツは、失敗の貝塚作りです。 3段階の者には経験を恐れぬ蛮勇がある。それが必要」

「スポーツだけですか?」「ほかのも一緒じゃないかな。芸術等、創作の世界でオール5だった人はいない。 やはり一流は3だんかいだネ」

「じゃあ、オール5の子はどうなるんです?」「いずれは人の尻にくっつき、己の責任を放棄して生きていく大人になる。 それもまた、才能。そして政治家になりゃいいね」

「本当ですか?」「本当だ。私は5と4だった。4は体育と国語。今、その体育と国語の延長で生きている。 5の評価科目はスッ飛んだ。面白いでしょ」「そうですネ」

「私の通信簿評価は2段階。だから三流プロだ。3段階だったら今ごろ、マネーランク3位には入ってたな」

「坂田プロの子供さんはどうです?」「よく聞いてくれた。雅樹は3・2・1。平均は2.4。 長女寛子は4・3・2と立派な3段階。期待出来る。3とか2、あるいは1をもらって嘆く親は阿呆(あほう)だ。 人間の能力の実体が分かってない」

「そう言って頂くと救われた気分になります」「あなたの子はどう?」「5だけです。 でも数学が4に落ちそう、と女房が心配してますけど……」「あなたは?」 「もちろん、落ちたのでは困ります。悪いよりは、いい方がいいに決まってる」

オール5の子の目には緊張感が漂い過ぎてる。パッティングでもそうだ。目に緊張感を入れたら1メートルが入らない。 目が必死になれば、余裕なしの欲だけギンギラ状態になり、外れラインを作ってしまう。

今日の講演ではこのことを話そう。
3時50分になった。会場にいきます。

以上が原文そのままですが、これを読んだとき思わずにやりとしたものです。
すぐにコピーを取ってファイルしましたが日時は不明です。
私は4段階、体育で2をとったことがある、その体育で飯を食っています。
但し一流には程遠い二流プロです。

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