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リトル・ダンサー
知ってるともっと映画が面白くなる!
「豆知識」

イギリスにおける1984年という時代背景について

かつてエネルギー資源と言えば石炭だった。世界各地で炭坑町が栄え、多くの炭坑夫 たちが穴にもぐって石炭を掘リ続けた。多くの危険にさらされながらも低賃金、という劣 悪な条件の下で、男たちは顔を真っ黒にしながら、産業を支えたのだ。だが、20世紀に入 り、石油という新たなエネルギー資源の登場によって、石炭産業は次第に衰退してゆく。
世界各地の炭坑町が、炭坑の閉山と共にすたれ、多くの失業者があふれるようになる。

イギリスでは、第二次大戦後、国有化された石炭産業が、1970年代に完全に行き詰ま リ、1983年には、石炭庁が3年間で6万4000人の炭坑夫の首切りを政府に提案、翌84 年に20ヶ所の炭坑を閉鎖すると発表した。

「リトルーダンサー」の時代背景となる1984年は、こうした状況下で、全国の炭坑夫た ちが無期限ストライキによって政府と全面対決した、イギリス戦後史の重要な年である。
この年の暮れ、当時の酋相(あの鉄の女)サッチャーは、「多額のボーナス」というエサで生 活に困り果てた炭坑夫たちの団結を切リ崩し、翌85年3月にイギリス史上最悪のストは 終結する(この間に炭坑夫の組合の委員長をはじめ、6000人が逮捕された)。
20世紀の初めに3000ヶ所あった炭坑は、現在では22ヶ所にすぎない(イギリスには、実はあと 150年の国内需要をまかなえるだけの石炭の埋蔵量があるというのにもかかわらず)。

「リトル・ダンサー」の主人公ビリーの父親は、もはや将釆のない炭坑にしがみつくこ とをしかできない不器用な父親である。それは、彼が新しい時代の価値観(たとえば男の 子がバレエをするということ)を受け入れきれないことにも重なっている。どの時代にも 新しい価値観に抗い、もがき苦しむ世代がいる。吉い価値観が壊されつつある今の日本 にも、この父親の苫しみに他人事でなく共感する人は少なくないだろう。

パレエを扱った映画、他にどんな映画があるの?

バレエを扱った映画と言えば、まず名作中の名作「赤い靴」(1948年イギリス映衝)潜。バレエに魅せられた天性の バレリーナの悲劇的な生き方を描いた傑作。この「赤い靴」の監督、マイケル・パウ:工ニルとエメリック・プレスパーガー が詩人ホフマンの幻想的な物語をオペラ、バレエの手法を用いて描いたrホフマン物露』(1951年イギリス映画)は、 近くリパイパル公開の予定もある。パレエをモチーフに、戦争の時代を生き抜いた4家族の物語を綴った「愛と豪しみ のボレロ」(1981年フランス映画)は、監督が「男と女」のクロード・ルルーシュ、振リ付けがモーリス・ベジャール。ジョ ルジュ・ドンとダニエル・オルブリフスキが主演するという3時間の豪華大作。年をとっでもなおバレリーナとしての 生き方を貫く女性を描いた映画r愛と喝采の日々」(1977年アメリカ映画)は、アン・バンクロフト、シャーリー・マクレ ーンという2大女優に加え、ミハイル・バリシニコフが出演している感動作だ。そのバリシニコフがソ連からアメリカ に亡命したダンサーを演じるrホワイトナイツ/自夜」(1985年アメリカ映画)という映画もある。

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