キヤノン久々の高倍率ズームモデルが登場「PowerShot S1 IS」
扱いやすいボディに手ぶれ補正付き10倍ズームを搭載
 
▲ キヤノンの「PowerShot S1 IS」は、人気ジャンルとしてすっかり定着した高倍率ズームデジカメ市場に投入される光学10倍ズームの320万画素モデルだ。希望小売価格はオープンで、予想実売価格は5万9800円。発売は3月19日 ▲ バリアングル式を採用した1.5インチの液晶モニターは、かなり小さく感じてしまう。ビューファインダーの右隣に動画ボタンを配置し、動画の撮影と停止がこのボタン1つで行えるのが特徴となっている

キヤノンから、待望の高倍率ズームデジカメ「PowerShot S1 IS」がついに登場した! 新設計のボディに、光学10倍ズームレンズと320万画素CCDを搭載した意欲作だ。

●高倍率ズームの性能を生かす装備が満載

あまり知られていないが、キヤノンは高倍率ズームデジカメへの参入は意外と早く、2001年2月には光学10倍ズームに手ぶれ補正機能を搭載した334万画素の高級機「PowerShot Pro90 IS」を発売していた。だが、それ以降は新製品の投入がなかった。価格が16万円と高額だったPro90 ISの登場から3年の歳月を経て、見かけ上は同等のスペックを搭載しながらも、大幅な小型化と低価格化を実現し、満を持して放つのがこのS1 ISなのだ。

▲ 曲線を多用した女性的なデザインのボディは、比較的小柄にまとまっている。操作ボタン類のレイアウトは他のPowerShotシリーズに準じており、ボタンの押しやすさも相まって操作性は良好だ

3年間のブランクの間に、オリンパスや松下電器産業、富士写真フイルムなどが「高倍率ズームデジカメ」を見事に人気ジャンルへと育てていった。そこに参入するS1 ISは、大きく分けて以下のような4つの特徴を備えており、ライバルモデルに引けをとらない性能を誇っている点で注目される。

第1の特徴は、レンズシフト式の光学手ぶれ補正機能の搭載だ。現在では、松下電器産業がリードしているこの機能だが、キヤノンもフィルムカメラとビデオカメラで蓄積した豊富なノウハウを持っている。シャッタースピード換算で約2~3絞り分に相当するとアナウンスされている補正効果は、確かに実写でも確認できた。

ただし、ズーム端では液晶モニターのリアルビュー映像が船のようにゆっくり揺れ、このフィーリングにどうしてもなじめない人がいるかもしれない。こんな場合には、レンズ脇にIS(ImageStabilizer=手ぶれ補正機能)のON/OFFボタンが用意されているので、適宜切り替えながら撮影するのがよいだろう。

▲ ボディが大幅に小型化されたオリンパスの「C-760 Ultra Zoom」(右)と比較してみると、やや大柄なのがわかる。ただし、しっかりとしたグリップを搭載しているだけあって、ホールド感は非常に優れている ▲ これが3年ほど前に発売された「PowerShot Pro90 IS」。334万画素のCCDに手ぶれ補正機能を搭載するなど、PowerShot S1 ISとスペックは似ているが、ボディが大柄で価格が高く、大ヒットに至るまでにはならなかった

第2の特徴は、電動ズームの駆動に超音波モーターを採用していること。人さし指で操作するズームレバーを回すと、広角端←→望遠端が1秒足らずでズーミングでき、とても快適なのだ。さらに、ズームスピードが2段階になっているのも親切。レバーの操作角を小さくすれば、駆動音も聞こえないほどスムーズにズーミングでき、思い通りの画角でキッチリ止めることができる。電動ズームを採用した機種の中には、細かな画角調節が難しいモデルも多いのだが、これならばタイトなフレーミングが自由に行えるだろう。

第3の特徴は、可動式の液晶モニター。PowerShotシリーズではおなじみとなった、横開き方式の「バリアングル液晶モニター」が採用されている。下方向に90度、上方に180度回転させられるので、ローポジション/ハイポジション撮影はもちろんのこと、自分撮りにも対応。液晶面を内側にして折りたためば、収納時に画面を保護することも可能だ。収納時には、表示が映像モニターからファインダーへ自動的に切り替わる点も抜かりない。ただし、この液晶モニターはサイズが1.5インチと、ボディサイズから見ると明らかに小さく貧弱なのだ。せめて、1.8インチくらいの大きさは欲しいと感じた。

▲ 可動式を採用した液晶モニターは1.5インチと、かなり小さめだ。上下の視野角がやや狭い点と、屋外では発色が浅く見えがちなのが気になった ▲ グリップ部に単3形乾電池4本を内蔵。アルカリ乾電池は電池の消耗が早いのが気になるので、できれば大容量のニッケル水素充電池を使いたい

第4の特徴は、高画質の動画が長時間撮影できる点で、640×480ドット/30fpsの動画が最長60分まで連続で撮影できるのだ。この場合、超高速ズームは無効になるが、超音波モーターのおかげで耳障りなズーム音がほとんど録音されないのがうれしい。

背面には、この動画撮影のために専用の動画ボタンが設けられており、録画スタート/ストップがこのボタン1つで行える。ただし、動画撮影時にはあらかじめモードダイヤルを動画に設定しておく必要があり、静止画モード時に録画ボタンを押しても動画撮影は行えない。また、動画撮影モード時にシャッターレリーズボタンを押しても静止画撮影はできないのだ。これらの制約があることを考えると、個人的にはこのボタンは不必要だと感じた。

●バッテリーの持ちに関しては不満が残る

画質は、望遠端の撮影でもシャープさを感じさせるものに仕上がっている。300万画素クラスとしては、全体にノイズが少なめな点も特筆できる。ただし、解像感は高いのだが、被写体の輪郭が若干太めに描写される傾向がある。また、全体的に露出が明るめに出るようで、色の深みがもう少しほしいと感じる場面が多かった。

※以下の画像をクリックすると、オリジナルの画像を表示します。なお、試用したのは試作機のため、製品版とは異なる部分が生じる場合があります。

 
▲ 動物園でホッキョクグマをフルオート撮影。ワイド時の画像では池の部分の暗さに露出が引っ張られ、晴れた空が白くなってしまったのが残念。望遠画像では、クマの頭部分などに青っぽいにじみが見られるが、全体にシャープな描写だ(左:ISOオート、1/160秒、F4.5 右:ISOオート、1/250秒、F4.5)

6万円という実売価格を考えると、かなり充実した内容だと感じられる本機だが、撮影していて気になる点がいくつかあった。

ひとつめは、液晶モニターの表示に関してだ。どうもダイナミックレンジが狭いようで、実際に撮影される画像よりも画面全体が白茶けた感じに表示されることが多い。「キレイだ!」と感じた被写体にカメラを向けても、液晶の表示がきれいでないことに惑わされて、シャッターを切るのをためらってしまう場面が何回もあった。このような場合でも、撮影してみれば結果オーライであることが多いだけに、この点は残念に思えた。

また、電池の消耗が早い点も要改善ポイントだ。単3形乾電池を4本利用するデジカメは、使用時の重量が重くなるかわりに、十分なスタミナが確保されている機種が多い。ところが、本機はアルカリ乾電池4本が数十枚の撮影でなくなってしまった。ズーミングの回数などによって変わるので一概にはいえないが、今回は二百数十枚の撮影を終えるのに電池を3回も交換するほどだった。

メーカーの公称値でも、アルカリ乾電池ではモニターを使っての撮影で約120枚、ファインダー撮影で約125枚とかなり少なめな数字になっている。今回はテスト時間の関係で別売りのニッケル水素充電池(こちらは公称約550枚)は試せなかったが、アルカリ乾電池を利用したい人は注意が必要だろう。

以上のような不満は感じたものの、全体に見ればコンパクトなボディに多くの機能を搭載した実力機だといえよう。操作性に優れる高倍率デジカメが欲しい人には文句なくお薦めできる1台だ。


製品名 PowerShot S1 IS
発売 キヤノン(http://canon.jp/
希望小売価格 オープンプライス
予想実売価格 5万9800円
撮像素子 1/2.7インチ330万画素CCD
有効画素数 320万画素
レンズ 光学10倍ズーム(35mm判換算38~380mm)、F2.8~3.1
撮影範囲 10cm~∞
最高記録解像度 2048×1536ドット
動画撮影機能 640×480ドット/30fps(最大60分、または1GB)
記録媒体 コンパクトフラッシュ
液晶モニター 1.5型TFT(11.4万画素)
ファインダー ビューファインダー(11.4万画素)
PCとの接続 USB1.1
PictBridge 対応
電源 単3形アルカリ乾電池×4本
外形寸法、重量 111(W)×78(H)×66.1(D)mm、370g(本体のみ)
ボディカラー シルバー
発売日 3月19日
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