手ぶれ補正付きの12倍ズーム・400万画素機「DMC-FZ10」
光学12倍ズームのLUMIXが400万画素のCCDを搭載
重厚感のあるフィルムカメラ的なデザインは健在
 
▲ 松下電器産業の「DMC-FZ10」は、大口径のレンズがひときわ印象的な高倍率ズーム機だ。全体的なデザインはDMC-FZ1/FZ2を継承するが、有効400万画素のCCDを搭載して機能アップが図られた。希望小売価格はオープンで、実売価格は6万9800円前後となる

松下電器産業のデジカメ「LUMIX」シリーズのラインナップの中で、高倍率ズームが特徴となるFZシリーズの最新モデルとして発売されたのが、この「DMC-FZ10」だ。旧モデルのDMC-FZ2でネックとなっていた211万画素のCCDを改良し、有効400万画素の高画素CCDを搭載したのが特徴だ。また、基本的なデザインはFZ1/FZ2を踏襲しているのだが、CCDの大型化に合わせてレンズを一新したのも見逃せない。

●こだわった設計の光学12倍ズームレンズ

FZ10を手にした第一印象は、より一眼レフカメラらしいデザインになったことと、レンズがかなり大きいということだ。ペンタプリズムが入っているように見える中央の盛り上がりの部分には内蔵ストロボが入っており、電子ビューファインダーはFZ1/FZ2と同様に背面の左端に用意されている。

▲ 操作ボタン類のレイアウトもFZ1/FZ2とほぼ同じだが、ポップアップ式のストロボがオーソドックスな構造に変更されている。大口径レンズの周囲にはマニュアルフォーカスリングが装備される
▲ 2インチに大型化された液晶モニターが印象的な背面。モニターの写りも精細でかなり見やすい。ビューファインダーが左上に装備されているのもFZ1/FZ2からの伝統だ

FZ10の特徴となるレンズは、35mm判換算で35~420mmという12倍ものズーム倍率を持ち、全域で開放F値2.8を実現している。また、これまでと同様に非球面レンズを3枚使用しているのに加え、ED(特殊低分散)レンズ1枚を加えるというぜいたくな設計で、光学的に発生してしまう色収差を効果的に補正している。なお、レンズには「ライカDC バリオエルマリート」の名称が付けられている。

FZ2で「くるくると回転してしまう」「内面塗装の反射が大きい」などの不満があった花形フードは、形状がオーソドックスな円筒形に変更になり、回転しないように改良された。フードの内部に溝が掘られてはいるものの、反射の大きいツヤのある塗装はそのままなのが気になる。また、フードそのものは深いのだが、ボディからレンズが大きく繰り出されるため、フードとしての役割を果たしているとはそれほど感じられない。不要光をカットするというよりは、レンズを保護してホールドしやすくする役割が大きいといえよう。

電源スイッチは、背面の親指が当たる部分にスライドスイッチを装備する。電源を入れるとレンズがソロソロと繰り出されるのだが、その間は撮影できず、およそ5秒ほど待たされてしまう。電源を入れたら即撮影できるカメラが多いなか、これにはちょっとイライラさせられた。また、シャッターボタンを押してから実際に切れるまでのタイムラグも、最近のデジカメとしてはやや大きいといえるだろう。

 
▲撮影中の画面もFZ1/FZ2とほぼ同じ。全体的に情報量は少なめだが、右下にはリアルタイム表示のヒストグラムが現れるので便利に使える ▲設定画面はフォーカスした部分のみ設定可能な項目が現れるという仕組みで、なかなか使いやすい。文字やアイコンが大きめなのもうれしい
 
▲撮影した画像の一部分を切り取るトリミングがカメラ単体で行える。操作も煩雑ではなく実用的に使える

露出モードやシーンモード、再生などの選択は、FZ1/FZ2と同様にボディ上部の大きなダイヤルで選択する。被写体の明るさに合わせて、シャッタースピードと絞り値をカメラが適正に設定してくれるプログラムモードを使用するのが基本的なスタイルだが、絞り優先やシャッター優先オート、さらにマニュアルの各モードも選択できる。絞り値やシャッタースピードは、背面の「EXPOSURE」ボタンを押しながら十字キーで選択する仕組みで、最初のうちはちょっと煩雑に感じることもあったが、少ないボタンで効率よく使えるように配慮されていると感じた。

●手ぶれ補正機能は2種類の動作モードを備える

背面の液晶モニターは2インチの低温ポリシリコンTFT液晶が採用されており、かなり明るくて見やすい。特に、再生画面の精細感を持たせた表示は前モデルと同様で、その鮮明さには驚かされる。前述したように、電子ビューファインダーは背面の左上に搭載されているが、FZ10ではファインダーをのぞいた時に画像がものすごく遠くにあるように見えるのだ。手ぶれを抑えたい時などには利用する機会が増えるだけに、ビューファインダーの見やすさにも気を遣ってほしかったと感じる。

 
▲内蔵のポップアップ式ストロボは、FZ1/FZ2の2ヒンジ構造から、シンプルなポップアップ式に変更された。高さは十分に確保されている   ▲記録メディアはSDメモリーカードを採用。リチウムイオンバッテリーバッテリーとともに底面に収納される。充電は専用の充電器を利用するタイプだ
 
▲シャッターボタン周囲のモードダイヤルやズームレバーなどのボタンレイアウトはFZ1/FZ2と同じなので、ユーザーならすぐ使いこなせるだろう   ▲標準で付属するレンズフードを装着すると、このような感じになる。不要な光線をカットする役目はあまりなく、レンズの保護用と割り切って使おう

光学式の手ぶれ補正機能により、高倍率ズーム時や暗い場所での撮影でも手ぶれしにくいのは従来と同じ。FZ10では、常に手ぶれ補正を行う「モード1」に加え、撮影時にのみレンズを動かして手ぶれを補正する「モード2」が新たに追加されたのが特徴だ。モード1では、液晶を見ながらでも手ぶれ補正の効果が確認できるのだが、モード2はそれができない。しかし、メーカーの発表によれば、モード2の方がより高い補正効果が期待できるという。今回の短い期間のテストでは、両モードに大きな差を感じることはできなかったが、肝心の手ぶれ補正機能は低速シャッター時に特に大きな効果をもたらしてくれた。

FZ10では、レンズの部分にフォーカスリングとAF/MF切り替えスイッチが付けられており、マニュアルフォーカスに切り替えてからフォーカスリングを回すと、画面の中心部が3倍の大きさに拡大して表示される。実際には、デジタルズームを行ったような荒い画像で、ピントの山(ピントが合うピークの部分)がちょっとつかみにくいのが難点だ。しかし、この機能のおかげで、ピントを合わせたいと思ったポイントでしっかり合わせられるようになっている。

 
▲35mmという広角端は、近寄って撮影するときにもうちょっと広く撮れるといいのに、と思うことが多々あった。この作例ではほとんど分からないのだが、広角でのタル型のゆがみはかなり盛大に出ている。これを補正したうえで、もう少し広角寄りならいうことなしなのだが(ISO50、1/250秒、F4) ▲ポートレートは順光で撮影すると陰影が強く出てしまうため、柔らかい光で撮るのが基本。これは日陰で撮影したのだが、オートホワイトバランスではやや青っぽいくなったのが気になる。とはいえ、肌の色や階調は文句ないレベルで、髪の毛の偽色も目立たない(ISO50、1/200秒、F4)

動いている被写体の撮影では、マニュアルフォーカスに切り替えておき、シャッターを切りたいと思う場所にピントを合わせて被写体がその場所に到達したらシャッターを切る「置きピン」という手法を取るのがベスト。また、AFが苦手とする被写体の場合は、自分でピントを確認しながら撮影するのもよい。

なお、AF/MFの切り替え操作を行うスイッチは3段階に分かれており、最上段にセットするとAFが常時働くのに加え、中段のMFの位置からさらに下に押すと、その時だけAFが作動する仕組みになっているのがなかなか便利。AFで大まかにピントを合わせ、あとはMFで微調整を行うという撮り方ができるのだ。

●多少ノイズ感があるが画質は満足いくレベルだ

CCDの画素数がFZ2の倍になっているだけあって、画質に関してはほぼ文句のないレベルといってもよいだろう。青空やシャドー部などで多少ノイズが出ているように感じられるところもあるのだが、決して目立つものではない。偽色やフレアなども効果的に抑えられており、長時間露光を行ったときのノイズも、ノイズリダクションにより階調を損なうことなく除去されている印象だった。

 
▲ ススキの穂が輝いているシーンを逆光で撮影。しっかりしたレンズ設計のおかげか、多少のフレアが見られる程度で、穂が鮮明に映し出された。シャドーの葉の部分もきちんと描写されており、露出もカメラ任せでほぼ狙い通りに撮れた(ISO50、1/500秒、F4) ▲ 展望台のガラス越しから遠景を撮影。大気の揺らぎで鮮明さが欠けているが、それでも客船「飛鳥」の文字がしっかりと読み取れるのには驚いた。レンズの性能と画像処理エンジンがうまく働いている証なのだろう(ISO50、1/500秒、F5.6)

色の作り方も、期待色に合わせた高彩度な感じもあるのだが、特に気になるというわけではない。色の再現に大きな影響を与えるオートホワイトバランスも、太陽光が順光で当たっているところなら文句のないレベルに仕上がっている。日陰や人工光源の下では、その場の光の雰囲気を残しつつ、適正に補正されていることが多かった。しっかりと補正したい時には、マニュアルホワイトバランスで光源を任意に選択するか、プリセットすることもできる。

昨今のデジタルカメラの中では決して小さい方ではないのだが、超望遠域を利用するうえで多少の大きさと重さは必要だと感じる。この点を承知の上で、カーレースや航空機、また子供の運動会といった望遠撮影が必要になる機会にデジタルカメラを使用したいと思うのなら、文句なしにおすすめできる1台だ。

 
▲ フードが効果を発揮しているのかをテストするため、左上ぎりぎりに太陽を置いて撮影。ゴーストが出てしまっているが、全体のシャープさはしっかり確保されている。他のテスト画像でも、極端に描写が甘くなることはなかった(ISO50、1/320秒、F4) ▲ ワイド側ならば、レンズ前約5cmまで近寄れる。マクロモードは、ダイヤルを回してシーンモードに入れば簡単に設定できるが、露出モードがA/S/Mならマクロモードにしなくても同様の撮影が行える(ISO50、1/400秒、F5.2)
▲ 露光時間が長くなっても、感度を上げなければ極端にノイズが増えることはない。カメラを置く台になるものを探して静かにシャッターを切れば、三脚がなくても夜景が撮影できる。左上の青い光は、右下のヘッドライトによるゴーストだ(ISO50、1/4秒、F2.8) ▲ 流し撮りモードを使えば、疾走するマシンの動感を表現できる。タイムラグがやや長めなので、狙い通りにマシンを入れて撮影するには慣れが必要。画素数が多いことを考えれば、もっと広角寄りで撮影してトリミングするのもよいだろう(ISO50、1/125秒、F8)

製品名 LUMIX DMC-FZ10
発売 松下電器産業(http://panasonic.jp/
希望小売価格 オープンプライス
予想実売価格 6万9800円
撮像素子 1/2.5インチCCD
有効画素数 400万画素
レンズ 光学12倍ズーム(35mm判換算35~420mm)、F2.8
撮影範囲 30cm/2m~∞(標準)、5cm/2m~∞(マクロモード時)
最高記録解像度 2304×1728ドット
動画撮影機能 320×240ドット(時間制限なし)
記録媒体 SDメモリーカード
液晶モニター 2型TFT(13万画素)
PCとの接続 USB1.1
PictBridge 非対応
電源 リチウムイオン充電池
外形寸法、重量 138.5(W)×87.2(H)×105.7(D)mm、518g(本体のみ)
ボディカラー シルバー、ブラック
発売日 2003年10月24日
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