ニュートリノ質量の存在が
スーパーカミオカンデで検証されました
 
第十八回ニュートリノ物理学および天体物理学国際会議(ニュートリノ'98)が
日本の神岡の近くの高山(たかやま)市で、98年6月4日から9日まで開かれました。
 
スーパーカミオカンデ
スーパーカミオカンデは、巨大な水チェレンコフ検出器です。内部は 5万トンの純水で満たされ、11146個の光電子増倍管の目がそれを見つめています。検出器は、岐阜県神岡町の地下約1000m(水に換算して2700m)の茂住(もずみ)鉱山の中に設置されています。
スーパーカミオカンデグループは、陽子崩壊、大気ニュートリノおよび太陽ニュートリノの物理を研究しています。

大気ニュートリノ
大気ニュートリノは、大気中での一次宇宙線の反応でつくられる π中間子、K中間子の崩壊生成物です。主要な崩壊チェーンはわかっていますから、簡単な議論によってミューオンニュートリノと電子ニュートリノの比は2:1であると予測されます。
スーパーカミオカンデの共同実験者たちは、25.5[キロトン×年]の測定のデータをつかって、ミューオンニュートリノと思われるイベントが予測される数より抑制されていることを報告しました。予測は理論と測定器のシミュレーションに基づくより精密なものです。 (25.5[キロトン×年]とは、22.5キロトンの水を標的として一年強の間測定を行ない、そのデータを解析に用いたことを意味しています。) 宇宙線から期待されるニュートリノ総数の絶対値の予言には困難がつきまといます。それをさけるため、グループはミューオンタイプと電子タイプのイベントの比を発表しました。比をR(mu/e)として、データと期待数を比べると、

R(μ/e)データ/期待値 = (μ/e データ)/(μ/e 期待値) = 0.66+_0.06+_0.08,

のようになります。ここで最初のエラーは統計誤差、2番めは系統誤差です。基本的な理論が正しければ、この比は1になるはずです。さらに、グループはRがイベントの方向、特に下向きか上向きかに依ることを報告しました。下向きに来るニュートリノの方が、上向きに来るニュートリノに比べて少ないのです。下向きに来るニュートリノは生成してから10~20kmしか飛んでいませんが、上向きにくるニュートリノは地球全体を貫いてやってきます。 ミューオン型のニュートリノの不足と、特に天頂角依存性が観測されたことは、ニュートリノ振動が存在することの証拠です。
この得られた確証はK2K実験によって人工的にコントロールされた環境でテストされます。もし実際にニュートリノ振動が上に述べた異常の原因であり、かつもしニュートリノ振動のパラメータがスーパーカミオカンデの結果から示唆されるものであれば、この実験によって振動現象の大きな直接的証拠を得られるでしょう。
 
ニュートリノ98において、スーパーカミオカンデのグループはニュートリノに質量があるという確証が得られたという結果を世界に向けて発表しました。
下の画像は会議で使われたOHPのシートで、大気ニュートリノ観測の最も印象的な結果が詳細にわたって書かれています。影をつけた部分は、ミューオン、または電子型のイベントの期待される分布を示し、十字の点はその型のイベントの観測結果を示しています。全体のスケールがわからないとしても、データが以前の素粒子物理学理論による大気モデルの予言と一致しないのは明らかです。余白にある注意書きは、この不一致がどれだけ根拠のあるものかを、定量的、統計的に述べています。
 
スーパーカミオカンデとカミオカンデで得られた大気ニュートリノ観測の結果
ニュートリノ98にて 梶田隆章助教授 (東大宇宙線研究所)発表
 
 
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