世界へステップ、トリニータから日本代表

2006/09/07 大分合同新聞

大分トリニータのGK西川周作(20)とMF梅崎司(19)。2人は大分フットボールクラブ史上初めて、サッカー日本代表に選出された。ともに大分トリニータU-18出身。創設以来の目標が達成され、クラブ、チームは新たな局面を迎えた。生え抜き選手の日本代表選出効果を追った。

育成システムに自信

2人の選出はクラブにとって大きな意味を持つ。創設時「10年以内にJ1に上がる」などいくつかの長期的な目標を立てた。そのうちの一つが「自前の選手をいつかW杯に出場させる」だった。これまでは夢でしかなかったが、実現可能な目標となった。

“自前”が、単に生え抜きの選手というだけでなく、下部組織出身者であることも意義深い。大分は母体となる企業がなく、選手強化に豊富な資金はない。将来的な理想は下部組織からの選手が多くの割合を占めるトップチームとなることだ。

チームを支えるサポーターもユース出身者の代表入りを歓迎する。「トルシーダ」の加藤正雄代表(26)=大分市、会社員=は「やっと大分からも代表が出たと感慨がある。育成システムがうまくいっているんだろうと思わせてくれるのもうれしい。大分みたいなチームはよそから取ってくるんじゃなく、育てないと駄目」と強調する。

地元で育った選手の日本代表入りは、大分でサッカーをする子供たちにも朗報。子どもを大分トリニータのスクールに通わせている大分市内の主婦(34)は「今まで日本代表は大分に関係ないと思っていたが、ぐっと身近な話になった。子どもも『すごい』と興奮している。みんな目標を高く持つようになるのではないか」。

大分フットボールクラブの溝畑宏社長は「関東などのビッグクラブに行かなくても、代表に入れるんだということを証明できた。大分に勇気と活力を与えられたと思っている。クラブとしても、さらに上を目指すモチベーションとなる」と意義を話した。

選手に刺激、相乗効果

初の日本代表選出はチームに何をもたらしたのか。吉報後、2日間のオフ明けで練習場(県サッカー協会スポーツ公園、2日)に集まった選手たちの顔は明るい。MF梅崎司とともにU-19日本代表を経験したMF森重真人(19)は「大分で活躍すれば、ちゃんと見ていてくれる」と実感。今まで考えもしなかったフル代表の存在が身近になった。

J1リーグ第21節(8月30日)終了段階で8位までの上位チーム中、過去も含めて日本代表を送り出していないのは大分だけだった。6位と好調なチーム状況に呼応し、看板の主力2人(西川、梅崎)に白羽の矢。シャムスカ監督の手腕で育った若手が「オシムジャパン」の目指すサッカーにマッチした。

代表選手を輩出すると、J1リーグとの日程や故障など、新たな課題も生まれる。ただでさえ27人と少人数だけに、主力の離脱は痛い。しかし、それ以上にチームにもたらす相乗効果の方が大きい。原靖強化部長は「チームにとって自信になる」と歓迎。

アジア・カップ予選の日本代表に予備登録されているFW松橋章太(24)は向上心を隠さない。「下の世代に負けるわけにはいかない。(年齢が)上の選手にとって刺激になるし、いい意味で競い合える。自分もそういう場に行けるようになりたい」

日本代表はまだ固定されていない。チームの成績がよく、活躍すれば「オシムジャパン」への“切符”が届く。主将のDF三木隆司(28)は「代表選手が出てもおかしくないと感じるほど、チーム状況は上向き」。絶好調・大分から、日本の新戦力になり得る逸材は、ほかにもいる。(坂本、高橋)

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