わら塚と名画〝競演〟 写真家・藤田さんが出展

2007/09/19 大分合同新聞

「全国から人が集まる場所で、仕事ができて光栄」と語る、別府市の藤田洋三さん
展示される藤田さんの写真の一つ。現在では作られることのなくなった宇佐市安心院町のわら塚「みつまたこづみ」

近代農耕テーマに埼玉の美術館で

埼玉県立近代美術館の25周年記念展「田園賛歌―近代絵画に見る自然と人間」(10月27日―12月26日)で、別府市朝見の写真家・藤田洋三さん(57)の作品が展示される。モネやミレーが描いた農民や農村の姿と、藤田さんが撮り続けてきた「わら塚」の風景が、時代を超え、自然と人間という一つのテーマでつながる。

モネの「ジベルニーの積みわら、夕日」、ミレーの「落ち穂拾い、夏」といった名作を軸に、19世紀のフランス絵画を通して近代の自然観や農耕観の変遷を探る作品展。黒田清輝、岸田劉生らの名作を通して日本の変遷もたどる。約70人の作家の絵画や写真計約150点を展示する。

現代ではあまり見られなくなったが、全国各地で独特の呼称、形態を持って作られてきたわら塚。藤田さんの作品は「藁(わら)塚放浪記・心と手の記憶」と題し、未来につなぐ風景として紹介される。全国各地のわら塚や農村に生きる人々を写した約20点で、県内分では宇佐市安心院町、杵築市山香町などのわら塚4点を展示する。

藤田さんはモネ、ミレーが描いた「積みわら」の造形に引かれ、十代のころから全国各地で撮影を始めた。「東京五輪(1964年)を境にわら塚はなくなっていった」と語る藤田さん。都市化と過疎・高齢化の急速な進行で、消えつつある農村の風景。取材を重ねるうち、農村を担う農民の姿や暮らしの営み、わらを積む手仕事の素晴らしさに引かれていった。

「全国から人が集まるような場所で、このような仕事ができてうれしい」と話している。

同展は来年1月2日から、北九州市立美術館でも開かれる。